野球アピールプレイについて現役審判員が詳しく解説

ルール

野球のルールで「アピールプレイ」というルールをご存じですか?

通常は審判員がプレイを見てアウト、セーフのコールをします。

そして、違反があれば違反した選手に対してアウトが宣告されます。

しかし、選手自らがアピールをしなければ無効となってしまうプレイもあります。

今回は、アピールプレイについて現役審判員である私が詳しく解説していきます。

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アピールプレイとは

アピールプレイとは、守備側のチームが審判員に対して「攻撃側のチームがルール違反をしたよ!」とアピールしなければアウトにすることが出来ないプレイを言います。

アピールプレイについては、審判員がルール違反をしたことを確認しても審判員が自らアウトを宣告することはできません。

野球規則には以下のように記載されています。

次の場合アピールがあれば、走者はアウトになる。

(1)飛球が捕らえられた後、走者が再度の触塁(リタッチ)を果たす前に、身体あるいはその塁にタッチされた場合。
(2)ボールインプレイのとき、走者が進塁または逆走に際して各塁に触れ損ねたとき、その塁を踏み直す前に、身体あるいは触れ損ねた塁に触球された場合。
(3)走者が一塁をオーバーランまたはオーバースライドした後、直ちに帰塁しないとき、(一塁に帰塁する前に)身体または塁にタッチされた場合。
(4)走者が本塁に触れず、しかも本塁に触れ直そうとしないとき、本塁に触球された場合。(野球規則5.09c抜粋)

基本的に塁を正規に踏んでいないときにはアピールしなければアウトにならないという事になります。

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アピールプレイの対象となるプレイ

アピールプレイの対象となるプレイを分かりやすく説明すると以下の4つとなります。
  • フライの際に帰塁してリタッチしない
  • ベースを正確に踏んでいない(踏み忘れ)
  • 1塁へ走り抜けた際にすぐに帰塁しない
  • 本塁を踏んでいない(触れ直す意思がない)

アピールする際には単にベースを踏むだけではなく審判員に言葉と動作で、はっきりとその旨を表示しなければアピールした事にはなりません。

そして、野手からのアピール表示を確認して審判員が走者の空過等を確認していればアピールアウトが成立します。

走者が正規のプレイをしていればアピールが認められずセーフとなり、アピールした野手にもペナルティはありません。

フライの際に帰塁してリタッチしない

打者の打った打球がフライとなり野手が捕球した場合、走者はリタッチ(占有していた塁を一度踏む)をしなければなりません。

そして、リタッチする前に野手からボールが送球されベースを踏んだり直接タッグされれば走者はアウトとなります。

普段、何気なく行っているプレイも実はアピールプレイです。

アピールをする際は「審判員に言葉と動作で、はっきりとその旨を表示」とありましたが、このようなプレイは分かり切ったプレイなので暗黙の了解として認められています。

このようなプレイをフォースプレイだと勘違いしている人もいますがアピールプレイとなります。

また、タッチアップによるリタッチ、離塁もこの条件に入ります。

ベースを正確に踏んでいない(踏み忘れ)

進塁する際には1塁から順番にベースを踏んで進塁する必要がります。

走者がベースを踏んでいなければ、ボールを持った野手が踏み忘れた塁を踏んだり、直接野手にタッグして審判員にアピールすることでアピールができます。

野手のアピールが無ければ走者がベースを踏んでいなくても通常のプレイとして扱われます。

私も審判をしていて感じますが、走者の空過は思った以上に発生しています。

基本が出来たチームであれば野手が触塁の確認をしていますが、残念ながら最近では基本が出来ていないチームが多いように感じます。

また、複数の走者が塁を通過した場合にはどの走者に対してのアピールなのか審判員に分かるようにアピールする必要があります。

野球ランナー

 

1塁へ走り抜けた際にすぐに帰塁しない

野球のルールで1塁については、ベースを走り抜ける事ができます。

しかし、走り抜けた後に直ちに1塁ベースへ戻らないといけません。

例えば、ライト前まで走り抜ける。

走り抜けた後に疲れた仕草で地面にしゃがみ込み休憩して1塁へ戻らないなどが考えられます。

このような場合は走者のところまで行きタッチする必要はありません。

ベースを踏んでアピールすることでアウトが成立します。

ただし、1塁を走り抜け2塁へ進もうとした仕草をする走者に対してベースを踏んでもアピールは成立しません

この場合は走者にタッグする必要があります。

本塁を踏んでいない(触れ直す意思がない)

走者が本塁を空過しダートサークルを出てベンチに帰ろうとした場合はボールを所持した状態でベースを踏めばアピールアウトが認められます。

ただし、走者が踏みなおそうとしている場合にはタッグが必要になります。

その他のアピールプレイ

その他にも打順間違いによるアピールプレイ。

カウント間違いによるアピールがあります。

打順間違いについての解説は以下の記事を参考にしてください。

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アピール権の消滅

アピールプレイはいつでもアピールできるわけではありません。

本項規定のアピールは、投手が打者へ次の1球を投じるまで、または、たとえ投球しなくてもその前にプレイをしたりプレイを企てるまでに行なわれなければならない。

イニングの表または裏が終わったときのアピールは、守備側チームのプレーヤーが競技場を去るまでに行なわれなければならない。(野球規則5.09(c4))

アピールできるタイミングは以下のようになります。
  • インプレイ中であること
  • 次のプレイが始まるまでにアピールをする
  • 内野手がフェアグラウンドを去るまでにアピールする

インプレイ中であること

野手がアピールする際にはインプレイ中でなければなりません。

ボールデッド中はアピールしても審判員は「アウト」「セーフ」の判定はできません。

例えばタッチアップによるプレイが行われました。
  • 走者は本塁へ向かってスタート
  • 本塁へ滑り込み、判定は「セーフ」
  • 球審は土に埋もれたベースをキレイにしようとタイムをかける
  • 野手は走者の離塁が早いと思い3塁でアピールを試みる

このような場合は「ボールデット」の状態になっているためアピールは認められません

アピールするためには一度、投手がプレートを踏みプレイをかける。

投手がプレートを外し、3塁へボールを転送してアピールする。

このような手順を踏まなければアピールは認められません。

また、アピールのための必要なプレイと判断されるため走者がいない塁へ牽制をしたとしてボークを宣告されることもありません。

次のプレイが始まるまでにアピールをする

アピールプレイは次のプレイが始まるまでにアピールしなければアピール権の消滅となってしまいます。

たとえば以下のようなケースです
  • 走者1塁の場面で打者がヒットを放ち走者は3塁まで進塁する
  • しかし、1塁走者は2塁を通過する際に空過していた
  • 外野から返球された球を投手が受け取り、プレートを踏み次のプレーを始めようとしたり、次の打者に投球をした

このようなプレイは、次のプレイに移行したときは既にアピール権が消滅しているため、巻き戻して前のプレイに対するアピールはできません。

内野手がフェアグラウンドを去るまでにアピールする

アピールするタイミングが第3アウトに該当する場合です。

たとえば以下のようなケースです
  • 走者2塁の場面で打者がヒットを放った
  • 走者は本塁まで生還したが3塁ベースを通過する際に空過していた
  • 打者は2塁まで進塁したが外野から返球された球によりアウトとなり3アウトチェンジとなった

このような場合は、3塁へボールを送り空過のアピールを行えば2塁走者の得点は認められません。

つまり、第3アウトの置き換えとなります。

野手がアピールする際には投手を含む内野手全員がファウルラインを基準として競技場を去るまでに行なわれなければアピール権の消滅となってしまいます。

内野手の誰か1名が残っている時には有効にアピールが出来ます。

しかし、内野手全員がグラウンドを去り外野手がアピールしても認められません。

第3アウトの置き換えについての解説は以下の記事を参考にしてください。

アマチュア野球界においては、試合終了時に選手全員がホームプレート前に整列します。

この際には、全員が整列をするまでにアピールを行わなければアピール権は消滅してしまいます。

アピールプレイ中はインプレイ

先ほども述べたように、アピールプレイはインプレイ中でなければアピールができません。

要するにアピールしている際もプレイは続行しています。

例えば以下のようなケースが考えられます。
  1. 走者1、3塁の場面で3塁走者に対するタッチアップの離塁が早いとアピールをした
  2. 審判員に分かるように野手はアピールをしていた
  3. そのアピールの間に1塁ランナーが2塁へ進塁した

これは、当然有効なプレイとなります。

アピールする際にも、他のランナーを意識する必要があります。

まとめ

普段何気なく行っているプレイも、アピールプレイであることが確認できたと思います。

アピールプレイに対しては、審判員がルール違反をしている事を認識していても黙認するという特殊なルールです。

選手が思っている以上に規則違反は多く発生しています。

そして審判員は全て見ています。

プレイ中に打球に対して集中することは大切な事ですが、より視界を広げてプレーをすることにより更に強いチームに仕上げる事ができます。

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