野球の攻撃中に打順を間違えたらどうなるでしょうか。
打順を間違えるなんて、あり得ないと思う方もいますが学童野球の試合などでは年に数試合はこのような場面があります。
今回は、打順を間違えた際の対処法と有利に働く戦法を現役審判員が詳しく解説します。
打順間違いとは
公認野球規則では以下のように記載されています。
打順表に記載されている打者が、その番のときに打たないで、番でない打者(不正位打者)が打撃を完了した(走者となるか、アウトになった)後、相手方がこの誤りを発見してアピールすれば、正位打者はアウトを宣告される。ただし、不正位打者の打撃完了前ならば、正位打者は、不正位打者の得たストライク及びボールのカウントを受け継いで、これに代わって打撃につくことは差し支えない。公認野球規則6.07
結論から言えば、打順を飛ばされた(正規の打者)は相手チームからアピールがあれば「アウト」になります。
また、大前提として審判員・放送係を含む本部関係者が打順の誤りに気が付いても選手に通告してはいけません。
つまり、相手チームからアピールがなければ「打順間違い」は無かったものとしてプレーはそのまま続けられます。
そして、アピールをするタイミングで対処の方法が異なってきます。
自分のチームが打順を間違えた
自分のチームが打順を間違えてしまった場合、どのように対処しれば良いか解説します。
打席の途中で気が付いたとき
たとえば、本来2番打者が打席に立つところに3番打者が打席に立ってしまいました。
カウント1ボール、2ストライクで自チーム内で打順間違いに気が付きました。
対処法としては、気が付いた時点で「タイム」を掛け審判員に打順の誤りを申告してください。
この場合、正規の2番打者にカウントを引き継ぎ打席を3番打者から2番打者に代わります。
そしてペナルティはありません。
2番打者が打撃を完了した後は再び0カウントから3番打者が打席に入ります。
打撃が完了した後に気が付いたとき
3番打者が何らかの形で出塁した場合、次の打者は4番打者を打席に送り込まなければなりません。
4番打者に1球でも投げればアピール権は消滅するため得をします。
相手チームよりアピールがあれば、打順を飛ばされた2番打者はアウトとなり、アウトカウントが増えます。そして3番打者の出塁は無効となり、再度3番打者が打席に立つこととなります。
相手チームの打順間違いに気が付いた
相手チームが打順間違いをしていた時は、アピールするタイミングにより得をしたり損をするためアピールするタイミングが非常に重要となります。
打席の途中で気が付いたとき
打撃が完了した後に気が付いたとき
打撃が完了した後にアピールをすれば様々なパターンが考えられます。しかし一番大切なことは、次の打者へ投球するまでにアピールする必要があります。
(例1)
正規の打者:1番打者
誤って2番打者が打席に入る。そして2塁打を放った後に打順の誤りをアピールした。
(対処方法)
この場合は、まず打席を飛ばされた1番打者は「アウト」
そして2番打者の2塁打は無効となり、もう一度2番打者が打ち直す。
(例2)
正規の打者:1番打者
誤って2番打者が打席に入る。そし内野ゴロでアウトとなった。
(対処方法)
この場合はアピールするか否かは自由です。
アピールした場合は、正規の打者である1番打者はアウトとなり2番打者は打ち直し。
アピールしなかった場合は2番打者はゴロアウトとなり、3番打者が次の打席に入る。
クリーンナップに回す前にアウトカウントを多く取っておきたいと思えば「アピールした方が良い」という考えになります。
打順間違い中の進塁はどうなる?
例えば、本来2番打者が打席に立つところに3番打者が打席に立ってしまいました。
3番打者が安打で1塁へ進塁したため打順間違いによるアピールがあり打ち直しとなりました。
しかし、打順間違い中の打席でランナーは盗塁・パスボールなどで進塁した場合の進塁は認められるのでしょうか。
結論は、この進塁は正規の進塁として認められます。
まとめ
打順間違いをのポイントをまとめると以下のようになります。
- 自チームの打順間違いに気が付いたら打撃中のうちに直ぐ申告する。
- 相手チームへのアピールは打撃が完了するまで待つ。
- 審判員・放送係は打順間違いがあっても指摘しない。
- アピールするタイミングは次の投手が投球するまでにアピールする。
この4点に特に注意しましょう。
打順なんて間違えるはずがない!と思っている方もいますが、意外と多いのです。
学童野球などは指導者も注意して管理しておかないといけませんね。
コメント