野球のルール「DH制」(指名打者)について現役審判員が詳しく解説

ルール

野球のルールである「DH制度」。

誰もが馴染みのあるルールとして知っていますが、実はDH制度にも細かなルールがあります。

最近では、2020年の日本シリーズで読売ジャイアンツの原監督が全試合DH制を導入したことにより話題になりました。

今回は、「DH制度」について現役審判員が詳しく解説していきます。

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DH(指名打者)制度とは

DH制度とは、正式には「指名打者」と言われます。

簡単に言えば、投手が打席に立つ事なく代わりに打撃専門の選手が投手の代わりに打席に立つルールです。

つまり、打席に立たない選手は守備(投球)に専念すれば良く、逆に打席に立つ選手は守備が苦手でも打撃に専念すれば試合に出場できるルールです。

プロ野球では、パ・リーグのみ「DH制度」を採用しており、セ・リーグではを採用されていません。

日本シリーズなどでは、一般的にホームゲームがどちらのリーグに所属しているかにより「DH制度」を採用するか否かを決定します。

2020年の日本シリーズではソフトバンク側からの提案で「投手の故障リスク軽減などの観点」から全試合「DH制度」の提案があり読売ジャイアンツ側が承諾した特例がありました。

 しかし、アマチュア野球ではDH制度を採用している試合は殆どありません。

DH制度を採用している連盟(リーグ)
  • 東京6大学野球
  • 全日本軟式野球連盟(日本スポーツマスターズ、全日本シニア)
  • 社会人野球(硬式)
  • その他、ローカルルールでの試合
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指名打者は投手のみ

DH制度での大原則として、指名打者は投手の代わりとしてのみ打席に立つ事ができます。

つまり、投手以外の野手の代わりに指名打者として打席に立つ事はできません。

DH制度で良く誤解されている部分なので理解をしておきましょう。

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DH(指名打者)制度のルール

それでは、DH制度のルールについて解説していきます。

DH制度を採用しているリーグでも必ずDH制度を使用する必要はありません。

しかし、試合の途中からDH制度を使用する事はできません

指名打者を使用する際には、試合開始前のオーダー交換時に打順表に10人のプレーヤーを記載し、指名打者を特定する必要があります。

チームは必ずしも投手に代わる指名打者を指名しなくてもよいが、試合前に指名しなかったときは、その試合で指名打者を使うことはできない。(野球規則5.11a(3))

指名打者は必ず打席に立つ必要がある

指名打者として指名された選手は、少なくとも1度は打席に立ち打撃を完了しなければ交代することはできません。

後述する「DHの解除」「指名打者に代打」をする場合に注意が必要です。

ただし、該当する選手に対してDHが解除され守備に付く場合はこの限りではありません。

試合開始前に交換された打順表に記載された指名打者は、相手チームの先発投手に対して、少なくとも1度は、打撃を完了しなければ交代できない。(野球規則5.11a(2)抜粋)

指名打者に代打を送る

指名打者に代打を送ることも可能です。

ただし、試合前に打順表に記載された指名打者が最低1回は打席に立たないと代打を送ることはできません。

また、代打として試合に出場した選手を引き続き指名打者として使用する場合は打順を引き継ぐ形となります。

指名打者に代えて代打者を使ってもよい。指名打者に代わった打者は以後指名打者となる。退いた指名打者は再び試合に出場できない。(野球規則5.11a(4))

打順は固定される

一度に2名以上の選手を変更し守備に着かせる場合は監督が打順を指名する事ができます。

例)1番サードの選手、2番ショートの選手を同時に退き新たな選手と交代させる。
この場合は2番サード、1番ショートに打順を指名することもできる。
ただし、指名打者を含め2名以上の選手を変更しても、指名打者の打順の変更はできません。
例)1番サードの選手、2番DHの選手を同時に退き新たな選手と交代させる。
このような場合は、2番サード、1番DHと変更することはできません。
また、指名打者に代わって出場させようとする選手は、指名打者の番がくるまで届け出る必要はありません。
つまり、同時に2名以上の選手を変更して指名打者の打順を早めるなどの不正が無いように指名打者はいかなる場合であっても打順は固定されているのです。
指名打者は、打順表の中でその番が固定されており、多様な交代によって指名打者の打撃の順番を変えることは許されない(野球規則5.11a(7))

指名打者の消滅(DHの解除)

指名打者を採用しても次の場合は試合の途中で指名打者の権利が消滅してしまいます。

これを「DHの解除」とも言います。
  • 指名打者が守備についたとき
  • 投手が他の守備位置に付いた場合
  • 代打が送られ、その代打者が投手となったとき
  • 他の守備位置に付いていた選手が投手となったとき
  • 投手が指名打者に代わって打撃を行った場合

指名打者が守備についたとき

指名打者が守備についたときは、指名打者の権利が消滅します。
以降の打順は、指名打者は自分の打順で打撃を継続することになります。
また、投手は退いた野手の打順を受け継ぐ事になります。
例)指名打者(4番打者)の選手が3塁手(5番打者)と交代した場合、今まで打席に立たなかった投手は以降5番打者として打席に立ちます。
指名打者が守備についてもよいが、自分の番のところで打撃を続けなければならない。したがって、投手は退いた守備者の打順表を受け継ぐことになる。(野球規則5.11a(5))
 

投手が他の守備位置についた場合

守備の交代で投手同士のみ入れ替われば指名打者はそのまま有効になります。
しかし、投手が試合から退かずに他の守備位置に位置し、試合を継続する場合は指名打者の権利が消滅します。
投手が一度他の守備位置についた場合、それ以後指名打者の役割は消滅する。(野球規則5.11a(8))
打順は以下のようになります。
投手と既に試合に出場している野手で変わった場合
今まで投げていた投手→指名打者の打順を引き継ぐ
野手から投手に変わった選手→打順はそのまま

投手が新たに加わり、交代する投手が守備に付く場合
監督は、どの選手が、どの打順に入るか打撃順を指名しなければならない。

代打が送られ、その代打者が投手となったとき

どの選手に対しても代打が送られ、代打者がそのまま投手になる場合は指名打者の権利が消滅します。
代打で出場した選手は交代した選手の打順が引き継がれ、新たに守備についた選手はDHの打順を引き継ぎます。
代打者が試合に出場してそのまま投手となった場合、それ以後指名打者の役割は消滅する。(野球規則5.11a(9))
 

他の守備位置に付いていた選手が投手となったとき

他の守備位置についていた選手が投手となったときは指名打者の権利が消滅します。
新たに守備位置についた選手または、投手から他の守備位置についた選手がDHの打順を引き継ぎます。
他の守備位置についていたプレーヤーが投手になれば、それ以後指名打者の役割は消滅する。(野球規則5.11a(14))

投手が指名打者に代わって打撃を行った場合

投手は指名打者に代わって打撃または、代走として攻撃に参加することができます。
ただし、指名打者に代わって攻撃に参加した場合にはDHは消滅して投手は指名打者の打順を引き継ぐことになります。
投手が指名打者に代わって打撃するかまたは走者になった場合、それ以後指名打者の役割は消滅する。
試合に出場している投手は、指名打者に代わってだけ打撃または走者になることができる。(野球規則5.11a(10))

DH制度のメリット

DH制度を採用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
DH制度を採用した場合、単純に試合に出場できる選手が10名となり、より多くの選手が試合に出場できます。
野球というスポーツは、走・攻・守全てに於いて高度な技術無ければ最高のパフォーマンスを発揮することができません。

しかし、DH制度を採用すれば、どれか一つでも人よりズバぬけた技術があれば試合に出場することができます。
また、練習においても一つの練習に専念できるため、より高度な技術を身に着ける事も可能です。
野球を楽しむ方から見ても、打撃戦を見る事が出来るので楽しいです。

DH制度のデメリット

逆にDH制を採用することでデメリットも生まれます。
どうしても選手層が薄いチームになると走・攻・守全てを9人で対応しなければいけません。
相手チームがDHを採用し、自分のチームがDHを組めないと投手の疲労感は圧倒的に不利となってしまいます。
また、投手を絡めたバントのタイミングや監督の手腕により継投策など、日本古来の「スモールベースボール」が消滅してしまいます。
野球というスポーツは動く以外に頭脳プレーを必要とされる場面も多々あり、このような醍醐味が無くなるのも寂しく思います。

まとめ

DH制度についてまとめると
  • 指名打者は投手のみ採用できる
  • 指名打者が試合の途中で消滅してしまう場合もある

大きくまとめるとこの2点になりますが細かなルールが存在する事が分かったと思います。

アマチュア野球界ではあまり遭遇することはありませんが、知識を持っておくと周りの人に自慢できますよ!

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