野球の審判で重要な役割を果たす球審。
そして、判定回数も多くとても複雑です。
しかし、これから野球の審判員を目指す人や子供の試合などで審判をする機会がある人にも現役審判員が解りやすく解説したいと思います。
今回は球審の動き(動作)について説明します。
球審の役割
野球の審判である球審は野球の試合にとって最も重要な役割があります。
試合のジャッジは勿論ですが、試合のスピード化や良い試合として成立するか否かも球審に掛かっていると言っても過言ではありません。
したがって、試合全体に目を配り運営する必要があります。
球審が1試合にジャッジをする回数は200回以上とも言われ、その都度正確なジャッジをして当たり前と言われています。
その正確なジャッジをするために一番大切なことは、最も良い位置に立ちジャッジをすることです。
微妙な判定であっても、正確な位置から判定をすれば誰もが納得してくれます。
しかし、全くおかしな位置から「アウト」「セーフ」の判定をすれば当然抗議へと繋がります。
今回は、「ストライク」「ボール」以外の特殊プレーを含めた判定の方法について解説します。
「ストライク」「ボール」の判定方法は以下の記事を参考にしてください。
試合前の打ち合わせ
公認審判員は試合前に他の審判員を集め必ず打ち合わせを行います。
保護者審判による練習試合などでも簡単に打ち合わせをする事をおススメします。
打ち合わせではフォーメーションの確認や、打球の判定は誰がするのかなどを確認します。
内容としては以下のような確認をします。
- フェア・ファウルの打球判定の範囲の確認
- インフィールドフライのサイン・コールの確認
- トラブル時の対処方法
- 外野への飛球に対する判定範囲の確認
この他にも、大会規定の規則確認などを行いますが、最低でもこの4つは打ち合わせを行い確認をするようにしましょう。
そして、審判員はクルーとして試合を運営していきます。
必ず4人が第三のチームとなり試合を進行する事を心掛けましょう。
フェア・ファウルの判定
投球判定の次に多いのが、「フェア」「ファウル」の判定でしょう。
打ち合わせで確認した範囲で判定をするようにします。
基本的には、ベースから手前の打球は球審の判定範囲となり、ベースを超えて外野へ抜ける打球については塁審の判定範囲となります。
球審と塁審両方が判定をすると「ダブルコール」となり非常に見た目が悪いです。
また、同じコールをしていれば良いのですが、お互いが違うコールをすると必ずトラブルとなるため注意が必要です。
それでは、どのように判定するのか解説していきます。
判定する場所はランナーが有る場合と無い場合に分かれます。
フェア・ファウルの解説は以下の記事を参考にしてください。
塁上にランナーが無い場合

ランナーが無い場合は、ホームベースより前に出て打球が飛んだ方向のファウルラインをまたいで判定します。
この時に打者走者や捕手の妨げにならないように注意が必要です。
ランナーが有る場合

ランナーが有る場合には、本塁を空けるわけにはいきません。
したがってホームベースより後ろに立ち、ファウルラインの延長線上をまたいで判定します。
この時に、打者や捕手が視界を遮ることが無いように注意してポジショニングする必要があります。
判定方法
判定する際は必ずマスクを取り、左手に持った状態で判定します。
そして、ベースより手前の打球については野手のグラブまたは身体に触れた時にフェア・ファウルが判定します。
この時に、ファウルライン上から内側(フェア領域)であれば、フェアとなります。
逆にラインより外側(ファウル領域)であればファウルとなります。
それでは打球が、ライン上で止まりました。
これは、フェア・ファウルどちらでしょうか。
正解は「フェア」となります。ボールが少しでもライン上にあればフェアとなり、完全にラインより外側であればファウルとなります。
バウンドした打球を判定する際も同様です。
ラインを上空へ伸ばした状態でボールがライン上か、外側かで判定をします。
際どい打球については、ライン上に立たないと正確な判定ができません。
ファウルラインに立ったまま判定をすると選手や観客は、あなたの判定に納得してくれません。必ずラインをまたいで判定するクセをつけましょう。
また、上手な選手は際どいライン上の打球に対して自分の身体はフェア領域に残したままファウルボールを捕球する選手がいます。
一見、身体がフェア領域に残っているためフェアと錯覚してしまいますが身体は何処にあろうが関係ありません。ボールのみを見て判定するように心掛けましょう。
コール
フェア・ファウルが確定したら、いよいよコールです。
コールはファウルである場合は、大きな声で「ファウルボール」と発声します。
そして、フェアである場合は、声は発しません。ノーボイスです。
これは「フェア」と「ファウル」の発声が似ているため選手に混乱を招かせないために、このように決まっています。
際どいラインに飛び、思わず「フェア!!」と叫びたいのですが、ノーボイスです。
ジェスチャー
続いてジェスチャー(手の動き)です。
ファウルボールの場合は両手を上げジェスチャーします。
ジェスチャーの形は連盟により違いがあり、高野連の場合は手で「Vの字」を作るイメージでジェスチャーします。
私が所属している軟式野球連盟では、両手を挙げ手を少し前に出すようなイメージでコールします。この時に手の平は「前」に向いている。(大きなボールを両手で支えるイメージ)になります。
フェアの場合はフェア領域を人差し指で刺して腕を平行に上げます。
際どいタイミングであれば、この動きを2,3回繰り返し行いフェアである事をアピールします。
この際に、腕が平行ではなく地面を指さす人や、柔道の審判が抑え込みを確認したようなコールをする人もいますが、これはとてもカッコ悪いです。
昔はこのようなジェスチャーだったような記憶がありますが、現在では使われておりません。
ホーム上での判定方法
ホームでのプレーは1点の有無に関わってくる重要なプレーです。
正確な位置で判定して皆が納得できる判定をするように心がけます。
フォースプレイの場合
フォースプレイの場合は以下のイラストの部分で判定します。
フォースプレイの場合は、捕手の後ろに立ちランナーの足と捕手への送球どちらが早いかで判定します。
この時に、捕手が確実にベースを踏んでいるか確認する必要があり、ホームでのアウト後に1塁へ送球しゲッツーを狙うことから良く足が離れている場合があるので注意しましょう。
タッチプレーの場合
タッチプレイの場合は以下のイラストの部分で判定します。
タッチプレイの場合は、送球がどの方向から来てもイラストの赤いマル部分に立ち判定します。
タッチプレイはなるべく近い距離で判定する事が理想とされており、目安として左バッターボックス内で姿勢を低くして判定するようにします。
実際に立ってみるとかなり近い距離で走者がスライディングして来るため恐怖を感じるかもしれませんが慣れる事により克服しましょう。
ただし、ランナーが駆け抜ける場合にはランナーと接触してしまうのでプレーを良く見て立つ位置を調整する必要があります。
また、走者と捕手はイラストの青いマル部分を狙ってきます。
したがって際どいプレーが起こる可能性がある場合には青いマル部分を注視すれば正しい判定ができます。
ただし、ボールが逸れたりした場合に捕手が走者の背中や肩の部分にタッチする場合もあります。この時にあまりベースばかり見ていると正しい判定が出来ないため注意が必要です。
特使なプレイ
球審には「ストライク」「ボール」以外にも様々な判定が必要となってきます。
バッターボックスから球審の立つ位置までが約2メートルあります。
この2メートルは「魔の2メートル」と言われており様々なドラマが起こります・・・。
このドラマの中には基本的なジャッジから特殊なプレイまで様々です。
特殊なプレイは毎試合起こるわけではありませんが、プレイが起きた時のために冷静にジャッジできるよう頭の中で整理しておきましょう。
特殊プレイについては以下の記事をご確認ください。
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