野球のバットには様々な種類があります。
その中で誰もが知っている有名なバットと言えば「ミズノ ビヨンド」です。
今回はビヨンドに関する歴史・飛ぶ秘密・バットの種類などを紹介します。
さらには、噂となっている「あの話題」についても考えてみたいと思います!
ビヨンドについて理解を深めたい方は、是非この記事を参考にしてください。
ビヨンドとは?
ビヨンドとは、野球メーカーであるミズノ社が販売している複合バットです。
今までのバットと言えば、金属製のバットが主流でした。
しかし、ビヨンドはバットの打撃部分がゴム製であり軟式野球特有の欠点を克服したバットと言えます。
軟式野球特有の欠点とは、打つ際にボールが変形して飛距離が出ないことであり、ビヨンドを使用することで飛距離が伸びるようになりました。
ビヨンドバットが飛ぶ理由
ビヨンドのバットが飛ぶ大きな理由は、打撃の際にボールが変形しない構造になっているためです。
軟式ボールとはゴム製の日本特有のボールであり、ボールの中は空洞になっています。
そのため、バットに当たる際に大きく変形し、変形したボールが元の形に戻り飛んでいきます。
つまり、ボールが変形して、元の形に戻るまでのエネルギーがロスとなり飛距離に影響していたのです。
ビヨンドバットと軟式ボール
そこでビヨンドはバットの打撃部分(芯の部分)を手で触っても凹むような柔らかい素材に変更しました。
結果、柔らかいもの同士がぶつかりボールの変形も少なくなった事でボールの変形を抑制することに成功しました。
ボールが変形しない分、インパクトの力を効率的にボールを飛ばす力に使えるので飛距離を伸ばすことにができるのです。
(一般的な金属バット)
(ビヨンドバット)
このようにバットに衝撃を吸収させることで軟式ボール特有の欠点を改善することに成功しました。
カタリストとの違い
カタリストというバットをご存知でしょうか。
カタリストとは「ルイスビルスラッガー」が販売している複合バットです。
ビヨンド同様に飛距離を伸ばす特徴がありますが、カタリストは違う方法で飛距離を伸ばすバットです。
カタリストはバットの根元に非常に硬いカーボンを入れています。
そのためバットを振った際に「しなり」が無いように設計されています。
しなりによるエネルギー消費を無くし、反発に生かすことでパワーを伝える仕組みになります。
どちらが飛ぶかと言えば、正直カタリストの方が良く飛ぶと思います。
しかし、カタリストは一部の試合で使用禁止になるなどトラブルが多いため使用を控えている選手が多いです。
ビヨンドのデメリット
- バッティングフォームが崩れる可能性がある
- スイングスピードが早くならない
バッティングフォームが崩れる可能性がある
本来であれば、バットの芯は狭く、芯に当たらないと飛距離が出ない構造となっています。
しかし、ビヨンドはバットの打撃部分であるウレタン素材に当たれば飛んでいきます。
つまり、簡単に飛んでいき、多少のブレがあってもヒットになる確率が高いのでバッティングフォームが崩れる可能性があります。
将来的に甲子園を目指すような選手は「ミズノ ビクトリーステージ Vコング02」をお勧めします。
スイングスピードが早くならない
打者はスイングスピートを早くすることにより打球を遠くに飛ばすことが出来ます。
ビヨンドは一定のスイングスピードを超えてしまうと効果が無くなってしまいます。
テレビでよく見るプロ野球選手が軟式ボールでホームラン競争をする企画があります。
これも、プロ野球選手のスイングスピードが早すぎてビヨンドでもボールの変形を抑制出来ません。
そして、プロ野球選手でもホームランが出ない仕組みとなっています。
逆に小学校低学年の子供が重たいビヨンドを使っても一定のスイングスピードに達しません。
この場合、いくらビヨンドを使っても飛距離は出ません。
低学年の子供でビヨンドを使用する場合「ビヨンドマックスEV2」がおすすめです。
ビヨンドの歴史
ビヨンドが販売されたのは2002年でした。
現在では、どのメーカーも複合バットを販売していますが、複合バットの先駆けは「ミズノ」です。
軟式野球では、レベルが高くなるほど得点が入りにくい投手戦の試合となります。
得点が入らない為、見ている観客からすれば正直面白くありません。
そこで軟式野球界のトップである全日本軟式野球連盟は飛距離が出るバットを作ってほしいとミズノ社に要望をしました。
そしてミズノ社は要望通りのバットである「初代ビヨンドマックス」を完成させました。
2002年以降、様々な改良が施されビヨンドシリーズだけで10種類以上のバットを販売。
累計販売数も2015年現在、約70万本の販売実績があります。
歴代のビヨンドとおすすめを紹介
それでは、歴代のビヨンドと現在販売されている商品を紹介していきます。
初代ビヨンドマックス
初代ビヨンドマックスが販売されたのは2002年です。
一般の金属バットと比べ反発係数を8%アップさせ軟式野球の常識を覆しました。
ビヨンドマックス(金属タイプ)
2005年に販売された「ビヨンドマックス」
初代ビヨンドマックスで壮大な人気を集めましたが、打撃部分がゴム製で打感が悪いという意見がありました。
そこで、金属バットに近い打感を実現させたのが「ビヨンドマックス 金属タイプ」です。
打撃部分に硬式バットで使われる「HS700」を採用し、反発係数を8%を維持したまま打感の改良に成功しました。
ビヨンドマックス オーバル
2006年に販売された「ビヨンドマックス オーバル」
バッティングの飛距離は伸びたものの、打撃部分である芯が直径40mmと他のバットより小さい部分が課題となっていました。
そこで、接地面が大きくなるようにラケットにょうに楕円形状にしたオーバル構造を採用する事によりヒット性確率を30%アップすることに成功しました。
(少年用)
バランス | トップバランス |
長さ | 75cm/78cm/79cm/80cm |
重さ | 570g/580g/590g |
(一般用)
バランス | トップバランス |
長さ | 83cm/84cm |
重さ | 680g/690g |
ビヨンドマックス キング
ビヨンドマックス登場以来、他社メーカーからも続々と飛距離アップを謳うバットが登場してきました。
しかし、ミズノ社も高反発の先駆者として、さらなる飛距離アップへ開発を進めていきます。
様々な素材でテストを行う中、前モデルより6%、金属バットより14%も反発係数をアップさせた「ビヨンドマックス キング」が2008年に登場しました。
ビヨンドマックス クロス
2009年に販売された「ビヨンドマックス クロス」
バッティングの楽しさは飛距離だけではなく、バットコントロールの楽しさを追加したモデルとなりました。
打撃部分の芯を十字型のクロス構造にすることで、凸部で打てば打撃時の手応えがしっかりと手に伝わる。
凹部で打てばより確実に前方にボールを飛ばすことができるという二つの特徴を一本のバットで実現するという画期的な設計を行いました。
ビヨンド メガキング
2014年に販売された「ビヨンド メガキング」
ビヨンドマックス誕生から12年、キングの登場から6年を経て、さらなる飛距離を実現したメガキング。
新たな新素材を採用し、通常の金属バットと比べ反発係数が約19%も向上させることに成功させました。
さらに、メガキングでは従来のビヨンドと比べ約12%の軽量化に成功させスイングスピードの加速にもつながりました。
ビヨンド メガキングⅡ
2015年に販売された「ビヨンド メガキングⅡ」
2006年に軟式ボールの変更により表面の形状が変わりました。
そのため、打撃時にボールが滑るという意見が多くなり、バットの打撃部に凹凸をつけるバンプ構造を開発しました。
また、雨天時のボールやバットが濡れた状態でも有効となりメガキングに比べて飛距離が約3%程度落ちにくくなりました。
ビヨンド メガキングアドバンス
2016年に販売された「ビヨンド メガキング アドバンス」
ビヨンドマックスが軟式野球界に定着していく中、飛距離のみではなく打率にも配慮したモデルが登場します。
飛距離を維持しつつ、スイートエリアを10cmも拡大することで、どこで打っても飛距離を伸ばすことに実現しました。
ビヨンド メガキングアドバンスⅡ
同年、2016年に販売された「ビヨンド メガキング アドバンスⅡ」
スイートエリアを10cm拡大させ尚且つ、バットに凹凸をつけるバンプ構造を採用しました。
表面の凸部がボールをしっかり捉え、スピンのかかった打球は予想以上の飛距離を出し外野手の守備まで混乱させるほどの性能でした。
ビヨンド ギガキング
2017年に販売された「ビヨンド マックス ギガキング 」
新素材の採用と、バット新部分の改良をすることで、さらなる反発性能を実現させました。
2018年から現在のJ号、M号球にも対応する作りとなり金属バットに比べ23%、前モデルより4%の反発係数向上になりました。
(少年用)
バランス | トップバランス |
長さ | 75cm/77cm/78cm |
重さ | 580g/590g/600g |
(一般用)
バランス | トップバランス |
長さ | 83cm/84cm/85cm |
重さ | 710g/720g/730g |
ビヨンド マックス レガシー
2021年に販売された「ビヨンド マックス レガシー 」
現在のビヨンドシリーズで最新作、尚且つ複合バット史上最高のバットです。
前作に比べ、芯部分を細くしてウレタンを肉厚にすることにより反発力が高まり反発係数を約7%アップしました。
また、J号、M号球に最適な柔らかさを分析することにより、かつてない反発力と飛距離をもたらします。
(少年用)
バランス | トップバランス/ミドルバランス |
長さ | 78cm/80cm |
重さ | 560g/570g |
(一般用)
バランス | トップバランス/ミドルバランス |
長さ | 83cm/84cm/85cm |
重さ | 710g/720g/730g |
ビヨンドの寿命
ビヨンドの寿命はおおよそ3年と認識しておいてください。
ビヨンドの素材には「PUフォーム」が使用されています。
PUフォームとはウレタンのことで、ウレタンの耐応年数が3~5年と言われています。
また、ビヨンドを購入すると専用ケースが付属されていることが多いです。
筒状の専用ケースで保管、移動することで長持ちします。
ビヨンドは使用禁止になるの?
冒頭で述べたように、今後ビヨンドの使用が禁止になるのでは?という噂が飛び交っています。
結論から言えば、全日本軟式野球連盟主催の試合で使用禁止になることは無いと言えます。
理由は、ビヨンドが誕生したキッカケは全日本軟式野球連盟からの要望だからです。
製造を依頼した団体が団体主催の試合で「使用を禁止とします!」といえば大問題に繋がります。
このような理由から使用禁止になることは無いと言えます。
ただし、中学校体育連盟ではビヨンド使用禁止の噂があります。
理由としては、本体価格が高価であるため学校単位での平等性に掛けるという理由です。
まとめ
ビヨンドについて説明してきました。
現在では、ほとんど全ての選手がビヨンドの存在と効果を知っていると思います。
軟式野球界の常識を覆したミズノさんの技術力は素晴らしいものだと改めて感じました。
今後の開発にも期待したいですね!
コメント